knock on wood

日々の記録帳

2023/5/21

桐野夏生の真珠とダイヤモンドを土日で一気読み。時代はバブル景気、NTT株、財テクブームといった世界。私よりはひとつ上の世代の主人公たちの話は、感情移入できる登場人物がおらず、ほぼ証券の世界しか出てこないため知識としてはわかるものの実感はない時代の話だった。当時既にある程度大人で、特に高校時代はバブル好景気の恩恵を受け異様なほどに時給があがっていったことを覚えている。当時はそれを当たり前に受けていたけれど、バブル崩壊後にたまたま目にしたアルバイト求人情報誌が薄くなっていた時に、自分の高校時代のその求人誌が分厚く重たいものだったことを思い出し、それは即ち求人の数が減ったことを意味しているのだとわかって、そういう時代だったのだなと思った日が懐かしい。とはいえ、私にとってのバブル景気はその程度の印象しかないし、それ以前の時代、街の喧騒、世の中の動きを知らないから比べるものがなく、普通だと思って過ごしていたのだけど。それでも最後まで一気に読ませるのはさすが。冒頭の現在のシーンから、ハッピーエンドでないことは明白だったけど、どうなるの?と次のページが気になって思わず一気読みでした。