湊かなえの「贖罪」を読む。この人の本は、「告白」「少女」に続いて三冊目。一つの事件にかかわった人たちのそれぞれの語り重ねて核心に迫ってゆく方法(?)は、この「贖罪」でも同じ。作者とは年齢も近いせいか『○○に影響を受けた方かな?』などと邪推しながら読む。途中の登場人物の口調に違和感を感じるのと、最後のなんともいえない消化不良感。この人の作品はなんでこんなに最後でモヤっとするのだろう。途中までは面白い。前半はほんと面白く思う。なのに途中からかみ合わないような気持ちになり、最後でモヤっとする。映画になった「告白」だって、センセーショナルな内容なんだろうとは思うけど、読んでいてどうにも「噂を聞きかじった」という気持ちになる程度。心を大きく揺すぶられるような驚きもなければ、感動も、絶望感もない。だからこそ映画やドラマになるといいのかもしれない。小説であまりにも心を掴まれてしまうと、どうしても映像はそれに勝てないからね。
- 作者: 湊かなえ
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2009/06/12
- メディア: 単行本
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