knock on wood

日々の記録帳

べた★でい版 大人(アダルト)

今の職場には、徳俵さんという知人の紹介で雇ってもらっています。ここで働くようになって早くも四年、下っ端の私にも社内に友人がたくさんできました。経理の子や、総務の子や、営業の子……タイプも様々です。みんな仲良くしてくれています。ただ、彼女たちと話をするようになって、驚いたことがひとつあるのですが、それは、私をここに誘ってくれた徳俵さんは社内でも有名で、常にみんなから憧れの眼で見られている人だったということです。徳俵さんと私が知り合いだということは、みんな薄々勘付いているようですが、同時に個人的な繋がりはあまり無いとも思われているようです。そんな彼女たちは、私と話す時はいつも徳俵さんの話をしたがります。徳俵さんのことを私に尋ねることもありますが、その多くは、自分と徳俵さんとの関係(例えば、声をかけてもらったとか、電話を受け継いだとか、一緒にランチしたとかです)を語ることに時間を費やしています。そんな時、私は「徳俵さんは本当に人気なんだなぁ!」と思うのです。内心では『私だってそのくらいのこと徳俵さんとはしょっちゅうよ!』と思っているのですが、そんなことは言わずに、大袈裟にならない程度の感嘆の声をあげていたりするのです。こんな時、私は自分のことを大人になったなぁと実感します。ですが時々失敗もします。実は私は徳俵さんと二人きりの時、徳俵さんのことを、【とっさん】と呼ぶことがあるのですが、困ったことに他の方と徳俵さんの話題をしていると、この【とっさん】という呼び方が、口から飛び出してくることがあるのです。こんな時、いつもは大人だと思っている自分のことを、やはりまだまだなのだな、と思うのです。